スレート屋根の寿命と、塗装工事の誤解

2016.01.27

塗装なら安い。とは言い切れないかもしれません

塗装なら安い、塗装をすれば寿命が延びる、と安易な案内をする業者が多いせいかもしれませんが
「そろそろスレート屋根のメンテナンスをしようと思っているけど、予算がないから塗装工事にしようと思っている」
という声をよく耳にします。

この考え方が完全に違うというわけではありませんが、もしかするとスレートへの誤解(或いは誤認識)があるかもしれません。

スレート材の寿命は?劣化する理由は?

その誤解を解くために、まずはスレートについて解説したいと思います。

スレート材とは

スレートは厚さ約2mm程度の屋根材で、2004年以前のものはアスベストをセメントで固めて作られたものが大半を占めています。

カラー展開が多いため設計がしやすく、重量も軽いなどの理由で爆発的に人気となり、一気に普及したといわれています。

※現在作られているスレート屋根にはアスベストは含まれていませんので安心ではありますが、その分強度や寿命は下がっています。

※よく「カラーベスト」「コロニアル」といわれることがありますが、これはもともとスレート材の商品名で、シェアや人気度の高さから代名詞として使われているものです。

寿命は20~25年

一般に、スレート屋根の寿命は20~25年とされています。
これは、瓦などに比べると短く感じられると思います。

なぜ、強度のあるアスベストが含まれているにも関わらず、寿命があまり長くはないのでしょうか。

スレートが劣化する理由

その大きな理由が、異なる成分でできているという点にあります。

先程も述べたように、スレート屋根の主な成分はアスベストとセメントです(2004年以前)。
成分が違うと、季節による寒暖差や1日における寒暖差など、温度変化が原因となって劣化という形で表に現れてきます。

たとえば、夏場であれば雨が降ると水がスレート材に含まれますが、高温にさらされて乾燥します。
反対に冬場であればスレートに含まれた水分は凍り、日中は融けるなどを繰り返します。

これらが繰り返され、積み重なるうちに、スレートの中では次のようなことが起こっています。

製氷皿に入れた水が、凍ると製氷皿からはみ出しているという光景はよく目にすると思います。
これは、水分は凍ると体積が大きくなるためです。

同じように、スレートに含まれているわずかな水分も、凍ることで大きくなっています。
その影響で、くっついていた成分同士が少しずつ引き離されてしまうのです。

これを繰り返している間に、成分は完全に分かれてしまいまい、亀裂や割れといった形で表に出てきます。
更に、成分が分かれてしまったことで、寒暖差に対する伸縮率にも開きが生じてしまい、結果的に反りという形で現れてしまいます。

これが、いわゆるスレートの劣化であり、つまり経年と共に起こってしまうことは仕方がないともいえるのです。

劣化が原因で起こるもう一つの「割れ」の理由

このようにして劣化が進んでいるスレート屋根の場合、注意したいのが地震などによって起こる割れの現象です。

スレート材は通常、次の図のように固定されています。

釘を打つ位置

図のように、スレートの上部分、つまりその上に次のスレートが重なるため見えない位置に釘を打ちます。

ここで問題になるのが経年劣化です。

スレートが劣化を起こしている場合、地震などが起こると固定されている部分にだけ強い力がかかってしまいます。

更に、台風などの場合、下から突き上げるような風が吹くことがあります。
この場合、下部分は固定されていないため風に押されて徐々に反りが生じてしまうことがあります。

これらのストレスが重なることで、スレートが割れてしまうことがあります。

※施工したばかりの時は弾力もあり強度もあるため問題はないとされています。

劣化状況に応じた施工方法

では、劣化してしまった場合や寿命といわれる年数を経過してしまった場合はどうすれば良いのでしょうか。

塗装工事のよくある勘違い

「塗装工事」と聞くと、「工事ってことは、これをすれば蘇るはず!」と思ってしまうかもしれません。
価格も他の施工方法に比べると安く、かといってそこまで格安というわけでもないので、充分な工事のように感じます。

ですが、ちょっと待ってください。安易に塗装工事を依頼するのは危険かもしれません。

ここまででお伝えしてきたように、塗装をしたところでスレート材自体の身に起こっている事態は何も変わりません。
もちろん、塗装工事を行えば、雨や太陽熱などからスレートを守る役割は果たしてくれますが、劇的にスレートを保護するものではありません。

更に、スレート屋根の耐用年数が経過したころは、下地やルーフィング(防水シート)などにも劣化が起こっていることがあります。
それらをそのままにして新たに塗装したところで、結局近い将来大がかりな施工を行う必要が出てくる可能性があります。
そうなると、せっかく安く工事をしたと思っていても、結局フタを開ければ大きな出費になってしまうでしょう。

塗装工事が推奨されるケース

では、どうして塗装工事がこんなにも多く行われているのでしょうか。
それは、何もしないより、適切なタイミングで塗装工事をしておくことはメンテナンスの面では重要とされているからです。

また、塗装工事は「塗り替え」と呼ばれることもあり、美観の回復という面では大きく貢献してくれると考えられます。

つまり、塗装には推奨されるケースとそうでないケースがあるということです。

●塗装が推奨されるケース
 ・築10年程度である
 ・築20年程度で、10年に1度の塗り替えを行っていて、且つ劣化が軽度である

●塗装が推奨されないケース
 ・築20年以上で今まで何もしていない
 ・築20年以上で既に2回塗装を行っている(今回が3回目以降である)

上記からも分かるように、塗装工事は寿命(耐用年数)を迎えるまで何もしてこなかった家ではあまり意味がありません。
反対に、10年を目安に一度塗装を行っておけば、目立った劣化がない場合に効果を発揮しやすいと考えられています。

「寿命を迎えた」「劣化が目立つ」「トラブルが起こっている」場合の施工方法

ここまでで塗装が推奨されないケースが意外に多そうだということがお分かりいただけたと思いますが、ではどのような工事が最適なのでしょうか。

代表的なのが「カバー工法」と「葺き替え工事」です。

●カバー工法
カバー工法は重ね葺きともいわれます。

これは、既存の屋根はそのまま残し新たな屋根材を上から被せる方法です。
カバー工法は既存のスレートを引きはがさないため、アスベストの飛散を防止できるとして選択する人が増えています。

ただし、下地材など屋根の裏に、後に雨漏りを起こすようなトラブルが潜んでいても確認することができないため、本当にカバー工法で良いのか慎重に考える必要があります。

また、屋根が2枚になるため重たくなります。
耐震基準が見直された1981年以前の建物は耐震性が弱い可能性がありますので、カバー工法を行うことで耐震性に問題が出ないかどうか、必ず施工会社に相談するようにしましょう。

●葺き替え工事
カバー工法とは違い、既存の屋根材は全てはがします。

先程も少しふれましたが、アスベストを含んでいる場合は特別な処理・処分などが必要となり、費用が高くなる可能性がありますが、屋根の裏側の確認をすることができるため、トラブルを未然に防ぎ、結果的に住宅を長持ちさせられる可能性は高まります。

スレート屋根に関するご相談・お見積のご依頼は日本住宅工事管理協会へ

もしもいま塗装工事を考えなのであれば、本当に必要な工事かどうかしっかりと確認してみてください。
もしかすると、数年後カバー工法や葺き替え工事が必要になるかもしれませんので、その場合は結果的に多くの費用がかかることになってしまうからです。

ご自分の家が塗装工事をすべきなのか、もっと大がかりな工事に踏み切るべきなのか、なかなか一般の方が判断するのは難しいと思われます。

お困りの方、どこに相談すべきか判断ができない方は、お気軽に当協会までご連絡ください。

日本住宅工事管理協会は第三者機関ですので、客観的な立場からアドバイスをさせて頂くとが可能です。
また、お見積をご希望の場合は当協会の会員業者をご紹介し、現場調査の上お見積を出させていただくことも可能です。

どうぞお気軽にご相談ください。

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